医師の転科を求人検索で絞り込めるのは24社中9社。呼び方は6通りあり、4社は「未経験」と1つの項目にまとめている
この記事は、台帳に載せている24社の公式サイトを2026年8月20日と8月21日に読んで分かったことだけで書いています。テーマは医師の転科です。
先に、この記事が書かないことを4つ挙げます。口コミと体験談は書きません。うちは1件も持っていません。アンケートも取っていません。「転科した医師の何割が」という数字は1つも出てきません。順位も付けません。「転科ならここ」と書くには比べる軸を1本に決める必要があり、その1本を決めるのは読む人の事情だからです。転科のしやすさも評価しません。それは求人ごとの話で、サービスの側で決まる話ではないからです。
代わりに、軸になりうる項目を24社ぶん数えました。社数を出すときは、台帳のどの欄で判定したかと分母が何社かを毎回本文に書きます。
もう1つ、この記事にはっきりした目的があります。転科は、公式サイトに書いていない社が「対応していない社」に見えてしまう切り口です。書いていないことと、扱っていないことは別です。その線をどこに引いたかも、節ごとに書きます。
科目そのものの区切り方は診療科24社の記録に、雇用形態や求人数の全体像は医師の転職サイト24社の記録に、産業医への移り方は産業医24社の記録に書いています。重なる部分はそちらに送ります。
「転科」という語が公式サイトに出るのは24社中11社。のべ22回のうち10回は1社に集まっている
まず、語そのものを数えました。判定に使ったのは台帳の散文の欄すべて(雇用形態・対応エリア・求人数・診療科・施設・スポット・年収・開業・求人検索・登録フォーム・サポート・連絡・併用・特徴・運営者・備考)で、分母は24社です。
結果は11社・のべ22回でした。内訳はこうなります。
| サービス | 「転科」が出た欄 | 回数 |
|---|---|---|
| 医師キャリ | 雇用形態・求人検索・サポート・特徴 | 10 |
| 美容医局 | 診療科・サポート | 3 |
| ドクタービジョン | 求人検索 | 1 |
| ドクターキャスト | 年収 | 1 |
| Dr.アルなび | 求人検索 | 1 |
| Dr.転職なび | 求人検索 | 1 |
| e-doctor | 求人検索 | 1 |
| 医師転職ドットコム | 求人検索 | 1 |
| 日本医師会ドクターバンク | 求人検索 | 1 |
| ジョブメドレーエージェント 医師 | 求人検索 | 1 |
| マイナビDOCTOR | 求人検索 | 1 |
22回のうち10回が医師キャリ1社に集まっています。この社はサイト名の説明そのものが『医師の求人・転職・募集・転科専門サイトは医師キャリ』で、社名の説明に転科を入れているのは24社でこの1社だけです(判定は特徴の欄、分母24)。求人一覧の見出しも『常勤医師求人・転職・募集・転科一覧』『非常勤医師求人・転職・募集・転科一覧』『スポット医師求人・転職・募集・転科一覧』と、3つの雇用形態すべてに転科の語が入っています。
転科の相談で何をするかを書いているのも、この社と美容医局の2社だけです(判定はサポートの欄、分母24)。医師キャリのよくある質問Q06は『転科されるメリット・デメリットをお話させて頂き、転科可能な求人情報をご案内させて頂きます。』。美容医局はよくある質問の4カテゴリのうち1つが『応募・転科(美容未経験)について』で、『現在美容医療で活躍されている医師の多くが、形成外科、皮膚科、麻酔科、外科、眼科、内科など様々な診療科からの転科医師です』と答えています。
求人検索で転科を絞り込めるのは9社。分母は「こだわり条件」の欄を持つ16社
次に、求人検索の絞り込みで転科を選べるかを数えました。判定に使ったのは求人検索の欄です。
ここで分母を分けます。24社のうち、「こだわり条件」「特徴」「希望条件」にあたるチェックボックス群を持つのは16社でした。残る8社にはその欄そのものがありません。美容医局は絞り込みが勤務地・科目・勤務形態の3つだけ、Doctor's Life Careerは5つだけ、e-hijyokinと医師バイトドットコムは曜日・勤務体系・給与などで組む作り、JMC 医師転職支援サービスはチェックボックス式のフォーム自体を持たずリンクをたどる形、医師のセカンドキャリアは求人検索に絞り込みが1つもなく、エムステージの産業医求職支援サービスとさんぎょうい株式会社は求人検索の画面そのものがありません。この8社は数に入れていません。
16社のうち、項目を全部写せたのは15社です。m3.com CAREERだけは、こだわり条件の初期表示が3項目で、残りは『その他のこだわり条件を表示』を押して開く作りになっており、確認日に全項目を写し切れていません。ですからこの社は転科が無いのではなく、判定できていない社として、以下の分母から外します。
分母15社に対する結果です。
- 転科の項目がある: 9社
- 転科の項目は無いが、未経験・経験不問の項目がある: 4社
- どちらの項目も無い: 2社
「どちらも無い」2社はMRTとドクターキャストです。MRTは常勤のこだわり条件が32項目、ドクターキャストは特徴が12項目あり、その全項目に転科・未経験・経験不問のいずれも入っていません。ただしこれは「転科の相談ができない」という意味ではありません。次の節で、ドクターキャストについてはむしろ逆のことが起きています。
呼び方は6通り。同じ表記を使っているのは同じ運営会社どうしだった
転科の項目を持つ9社の、生の表記です。
| サービス | 表記 | 置かれている群 |
|---|---|---|
| ドクタービジョン | 転科OK | 人気のこだわり条件 |
| e-doctor | 転科OK | 勤務条件など |
| Dr.アルなび | 転科歓迎 | 勤務条件 |
| Dr.転職なび | 転科歓迎 | 勤務条件 |
| 日本医師会ドクターバンク | 転科 | 特徴 |
| 医師キャリ | 転科OK・未経験可能 | 特徴 |
| 医師転職ドットコム | 転科未経験可 | 求人の特徴 |
| ジョブメドレーエージェント 医師 | 転科未経験可 | スキル・経験 |
| マイナビDOCTOR | 転科OK・未経験歓迎 | こだわり条件 |
呼び方は6通りです。同じ表記を使っている組は3つあり、そのうち「転科歓迎」の2社はどちらも株式会社エムステージの運営でした。Dr.転職なびが常勤、Dr.アルなびが非常勤とスポットという分担で、群の名前(勤務条件)も、隣に並ぶ項目も揃っています。残る2組は運営会社が別で、表記だけがたまたま一致しています。
細かい違いも記録しておきます。マイナビDOCTORだけは「OK」が全角です。ドクタービジョンとe-doctorは半角の「OK」で、検索窓に打ち込んで探すときには別の文字列になります。
「転科」の2文字だけを項目名にしているのは日本医師会ドクターバンクの1社だけです。これは24社すべての求人検索の欄を総当たりで確かめた上で書いています。同社の「特徴を選ぶ」は42項目あり、その中に『転科』と『未経験可』が別々の項目として並びます。
転科と未経験を1つの項目にまとめている4社と、分けている4社
上の表をもう一段割ると、転科の項目が未経験と一体かどうかで9社が割れます。判定は同じく求人検索の欄、分母は転科の項目を持つ9社です。
- 1つの項目にまとめている: 4社。医師キャリ「転科OK・未経験可能」、医師転職ドットコム「転科未経験可」、ジョブメドレーエージェント 医師「転科未経験可」、マイナビDOCTOR「転科OK・未経験歓迎」
- 別々の項目にしている: 4社。ドクタービジョン(転科OK/未経験歓迎)、Dr.アルなび(転科歓迎/経験不問)、Dr.転職なび(転科歓迎/経験不問)、日本医師会ドクターバンク(転科/未経験可)
- 転科はあるが、未経験・経験不問の項目が無い: 1社。e-doctor
この差は、絞り込んだ結果に効きます。まとめている4社では、転科という条件と未経験という条件を分けて指定できません。分けている4社では、たとえば「転科は歓迎だが未経験は不可」という求人と「未経験可だが同じ科の中の話」という求人を、別々に拾えます。どちらが良いという話ではなく、探し方が変わるという話です。
e-doctorだけは、勤務条件などの群に転科OKはあるのに、未経験も経験不問も並んでいません。代わりに同じ群に「専門不問」があります。これも24社の求人検索の欄を総当たりして確かめました。
転科の語が無い13社のうち4社は、未経験・経験不問の項目を持っている
ここがこの記事でいちばん書きたかったところです。転科と書いていない社を「転科に対応していない社」と読み替えないでください。
転科の語が1度も出ない13社のうち、求人検索のこだわり条件に未経験・経験不問の項目を持っているのは4社です(判定は求人検索の欄、分母は前述の15社)。
- DtoDコンシェルジュ — こだわり条件15項目に『未経験歓迎』。同じ15項目の中に『セカンドキャリア歓迎』もあります
- 医師ジョブ — こだわり条件に『未経験歓迎』
- ドクターコネクト — 応募条件8項目に『未経験可』『専門医資格不問』
- 民間医局 — こだわり条件18項目に『経験不問』『専門医資格不問』
呼び方はここでも割れています。未経験歓迎・未経験可・経験不問の3通りで、どれも「今の専門と違う科でも応募できる」求人を指す語として使われていますが、同じ語であることを保証するものは公式サイトのどこにもありません。
さらに、転科の項目を持つ9社と合わせると、未経験・経験不問・転科のいずれかの項目を持つのは13社になります。分母15社に対して13社ですから、こだわり条件の欄を持つ社では、これは珍しい項目ではありません。
ドクターキャストは、絞り込みに無い「転科OK」を登録の誘導文には書いている
前の節で「どちらの項目も無い2社」に入れたドクターキャストには、続きがあります。
同社の求人検索の「特徴を選ぶ」は12項目で、転科も未経験もありません。ところが登録の誘導文には転科OKと書かれています。『高年収2000万円以上、当直なし、休日多め、院長・副院長募集、転科OK、ブランクOK、専門医取得支援など39,000件以上の優良求人から』という一文です(判定は年収の欄)。
書いてあることと、検索で選べることは別です。誘導文にある「転科OK」の求人を、公開されている求人検索の画面から絞り込む方法は、確認日には見つかりませんでした。探す側から見ると、この差は「あるはずのものが出てこない」という形で現れます。
同じ形は美容医局にもあります。よくある質問には転科のカテゴリが1つ立っているのに、求人検索の絞り込みは勤務地・科目・勤務形態の3つだけで、転科という条件を検索側で指定する場所はありません。
登録フォームで「今の専門」と「行きたい科」を別々に聞くのは2社だけ
求人検索より前の段階、登録フォームの科目欄も数えました。転科する人にとっては、ここがいちばん最初に詰まる場所です。
分母から先に書きます。24社のうち3社はフォームの中身を確認できていません。e-hijyokinは求職者向けの会員登録フォームが公式サイトに見当たらず、問い合わせページは確認日にHTTP 500を返しました。日本医師会ドクターバンクは1画面目がメールアドレスのみで、科目を聞く「求職条件の登録」はその先です。m3.com CAREERはログインしないと先の画面へ進めません。この3社は数に入れていません。分母は21社です。
| フォームの科目欄 | 社数 |
|---|---|
| 「希望する科目」だけを聞く | 10社 |
| 「今の専門科目」だけを聞く | 6社 |
| 両方を別々に聞く | 2社 |
| 科目を聞く欄が無い | 3社 |
両方を別々に聞くのは2社だけです。1社はDoctor's Life Careerで、『専門科目』と『希望診療科』を、どちらも同じ53項目の一覧で別々に聞きます。もう1社は美容医局で、こちらは2つの一覧の長さが違い、『専門科目』が35区分、『希望科目』は美容皮膚科・美容外科・美容内科・その他の4つです。同じ一覧で両方を聞くのはDoctor's Life Careerだけで、美容医局は行き先が美容に絞られているぶん希望の側が短くなっています。専門科目のほうには初期研修1年目・初期研修2年目から病理まで並んでいて、転科して入ってくる医師を前提にした作りになっています。
「今の専門科目」だけを聞く6社は、医師のセカンドキャリア、ドクタービジョン、医師ジョブ、エムステージの産業医求職支援サービス、マイナビDOCTOR、さんぎょうい株式会社です。このフォームには、これから行きたい科を書く欄がありません。ドクタービジョンは専門科目を必須で1つだけ選ばせる形なので、転科したい科は任意の自由記入欄に書くことになります。
逆に「希望する科目」だけを聞く10社のフォームには、今の専門を書く欄がありません。DtoDコンシェルジュは『希望する転職・アルバイトの科目』を最大3件までという上限つきで聞きます。
科目を聞く欄が無い3社は、ドクターコネクト、医師キャリ、民間医局です。転科を社名の説明に入れている医師キャリの会員登録フォームは、メールアドレス・お名前・電話番号・都道府県・誕生年・医師免許取得年の6項目だけで、科目の欄がありません。これは矛盾ではなく、科目の話は登録後のキャリアパートナーとの面談で聞く作りだからと読めますが、公式サイトにその説明は見当たりませんでした。
専門医を問わない絞り込みは6社にあり、呼び方は4通り
転科すると、移った先の科の専門医は持っていません。そこで専門医を問わないことを示す絞り込みも数えました。判定は求人検索の欄、分母は前述の15社です。
- 専門医不問 — ドクタービジョン
- 専門不問 — e-doctor
- 資格不問 — Dr.アルなび、Dr.転職なび
- 専門医資格不問 — ドクターコネクト、民間医局
6社・4通りです。Dr.アルなびとDr.転職なびの「資格不問」だけは、専門医に限らない書き方になっています。なお専攻医・専修医を受け入れる項目は別に並んでおり、ドクタービジョン『専攻医・専修医可』、民間医局『専攻医専修医可』、医師転職ドットコム『専攻医(研修医)可』、ジョブメドレーエージェント 医師『後期研修医歓迎』の4社が持っています。転科と、研修の途中であることは別の軸として扱われています。
科目の一覧そのものに「不問」を置くのは9社。内科の中でだけ不問という中間段を持つのは2社
もう1つ、科目の絞り込みの側にも転科に効く選択肢があります。判定は診療科の欄、分母は科目の絞り込みを持つ21社です(診療科の記事で数えた21社と同じ分母)。
科目の一覧に「不問」にあたる選択肢を置いているのは9社でした。ドクタービジョン、Dr.アルなび、Dr.転職なび、DtoDコンシェルジュ、e-doctor、e-hijyokin、医師キャリ、医師ジョブ、マイナビDOCTORです。多くは『科目不問』の1項目だけですが、2社は刻みが違います。
- DtoDコンシェルジュ — 『内科全般(科目不問)』『外科全般(科目不問)』『全科目不問』の3段
- 医師ジョブ — 『内科系科目不問』『外科系科目不問』『全ての科目不問』の3段
「内科の中でなら科目を問わない」という中間の刻みを持つのは、24社でこの2社だけです。これも21社の科目一覧を総当たりで確かめました。消化器内科から一般内科へ、といった内科系の中での移動を探すときには、この2社だけが絞り込みで直接指定できます。
そして逆向きの項目が1つだけあります。民間医局のこだわり条件18項目の先頭付近には『科目不問を除く』があります。科目不問の求人を検索結果から外すための項目で、24社の求人検索の欄を総当たりして、この向きの項目を持つのはこの1社だけでした。科目を決めて探したい人のための機能で、転科したい人にとっては使わない項目ですが、同じ「科目不問」という語が、社によって足す側にも引く側にも使われていることは書いておきます。
転科先として名前が出ている科は、美容と産業医に偏っている
最後に、どの科への転科なのかを公式サイトが書いているかを見ました。判定はサポート・診療科・求人検索の欄、分母は24社です。
具体的な科名まで書いているのは美容医局の1社だけでした。上に引いたよくある質問の『形成外科、皮膚科、麻酔科、外科、眼科、内科など』がそれで、転科の向きは美容医療への一方向です。同社は初期研修修了後すぐ美容へ進む医師を『直美』と呼んで別の質問を立てています。美容の求人を扱う社の一覧は美容の切り口にまとめています。
産業医については、医師転職ドットコムがよくある質問で産業医への転職サポートも行うと書いています。ただし産業医は求人検索の側では科目でも施設でもない扱いをされる社があり、そのまま数えると産業医の専門会社が一覧から消えます。この落とし穴は産業医24社の記録の最初の節に書きました。健診・人間ドックへの移り方は当直と健診の記録に分けています。
それ以外の科については、24社の公式サイトに転科先としての記述が見当たりませんでした。「内科から精神科へ」「外科から在宅へ」といった経路について書いた社は、確認日の範囲では0社です。0社は「そういう転科が無い」という意味ではありません。公式サイトに書いていない、というだけの事実です。
この記事の確認日と、数えていないもの
数字はすべてこの台帳の24社を数えた値で、確認日は17社が2026-08-20、7社が2026-08-21です。会社ごとの原文は台帳の各ページに、確認日つきで置いています。
数えていないものも書いておきます。転科の求人が何件あるかは数えていません。絞り込みを掛けた件数は日によって動き、社によっては未ログインでは出ないからです。転科後の年収も書いていません。24社の中に、転科の前後で年収がどう変わるかを書いた社は見当たりませんでした。成功率も期間も書いていません。うちはその材料を持っていません。